ホテル管理システム(PMS)の比較15選!主な機能や導入のメリットとは?
ホテル管理システム(PMS)の比較15選!主な機能や導入のメリットとは?
ホテルや旅館の業務を補助するホテル運営システム(PMS)は、メーカーごとに個性があり、それらを理解して導入すれば日々の仕事がより円滑に進みます。本記事では、PMSの概要から各商品の比較まで、余すことなく紹介しています。ぜひPMS導入の参考にしてください。
ホテル管理システム(PMS)とは
PMSはProperty Management Systemの略称です。客室のステータスや顧客データなど、ホテル運営に関わる情報の処理と管理を一手に担います。大半の業務で使用しており、施設の根幹ゆえPMSの導入は効率的な運営を実現する上で最も重要な選択といえるでしょう。
ホテル管理システム(PMS)の主な機能一覧
PMSの代表的な機能は下記の通りです。
機能 | 内容 |
---|---|
予約管理 | ・予約情報の確認、変更 ・客室の在庫管理 |
顧客管理 | ・顧客情報の登録、確認 ・アレルギーやなどの特記事項などの登録 ・DMの配信 |
フロント管理 | ・チェックイン/アウト ・客室ステータスの確認 ・部屋ごとの伝票入力 |
施設管理 | ・客室以外の施設を一括管理、予約/空き状況の確認 |
料理管理 | ・受注した食数を会場や料理の種類で集計、調理部門と共有 |
手配品管理 | ・貸出品の管理(種類や利用日を分類して管理できる機能も) |
帳票管理 | ・売上、稼働率の集計 ・施設の運営状況を可視化 |
売掛管理 | ・売掛金の台帳管理、入金処理 ・クーポンやカードが使用された会計の処理 |
分析 | ・宿泊客の特徴などを統計分析し、マーケティングに活用 |
機能ごとに選ぶと、途方もない時間が必要になりそうなシステムをトータルコーディネートで提供してくれるのがPMSです。
ホテル管理システム(PMS)を導入するメリット
PMSを導入する主なメリットは3つ。業務の効率化・顧客満足度の向上・データ分析に分けて解説します。
業務の効率化
サポート可能な範囲が広いため、施設様にとっての最適解に巡り合えれば、あらゆる業務の飛躍的な効率化が期待できるでしょう。PMSに一本化されることで、業務による記録媒体のバラつきが解消され、必要な情報やツールへの導線がシンプルになります。
チェックしたい情報があるけれど、誰かがファイルを持ち出していて確認できない。
進めたい業務に必要なデータが、パソコンのどこのフォルダに格納してあるのか分からない。
数多くの業務の起点がPMSに統一されることで、上記のような事態も解消され、初動の時間ロスを抑えられます。ゲストを介さない業務の効率化は、スタッフに良い意味で余裕を生み出し、結果的にホスピタリティの向上につながるでしょう。
顧客満足度の向上
ゲストが喜んでくれたこと、逆に気分を悪くされたこと、実際に接客をしたスタッフが直接得た細やかな顧客情報を施設全体で共有できます。追加のタオルを希望されたゲストに対して、翌日や次回の宿泊時にあらかじめタオルを追加で客室に用意する、といった接客を普遍的に実現するでしょう。
苦言やクレームなどの内容を残しておけば、今後のリスクヘッジにつながります。配慮の姿勢が伝われば、施設への評価が逆転し、ファン獲得への可能性すら見出せます。
データの分析と活用
予約に至るまでの経路の傾向や、顧客満足度の向上につながる細やかな記録など、データ蓄積こそがPMSの十八番(おはこ)です。予約の多いWebサイトにお得なプランを掲載したり、性別・年齢・国籍などの比率に合わせたプランを展開したり、ニーズの芯に響くサービスを展開できます。販促活動や設備投資の方向性を確かな数値に基づいて定められるでしょう。
ホテル管理システム(PMS)のタイプ
PMSは施設の規模と種類、それぞれに合わせたタイプが用意されています。大まかに3つのタイプに分類できるため、ご自身の施設の場合はどれにあたるか、確認してみましょう。
大規模ホテル向け
まずは、100室以上を有する大規模な施設を想定したシステム。複雑なルームタイプや客室以外の共用設備も管理ができるよう設計されています。団体宿泊や大規模な宴会など、処理に時間を要する大きな情報を効率的に捌ける機能を搭載したシステムも数多くあります。
このタイプはカスタマイズ性に富む反面、施設に適した機能を揃えなければ、力を十分に発揮できません。施設の保有する設備に合わせて、必要な機能を見定めましょう。
中規模・小規模ホテル向け
次に、100室以下の中規模・小規模な施設を想定したシステム。機能を絞った分、コストパフォーマンスに優れるのが魅力です。部屋数やベッド数で月額料金が決まるコスト削減を突き詰めたようなシステムもあります。
オプションで必要な機能だけ追加できる場合も多く、民泊やゲストハウスなど、施設のタイプを問わずに活用できるオールラウンダータイプです。少ないコストから業務改善を図れます。
ビジネスホテル向け
最後に紹介するビジネスホテル向けのシステムは、施設の規模ではなく、想定される客層にフォーカスしているのがポイント。仕事で利用されるゲストが多いことを想定し、繰り返しの利用を促進する機能や宿泊頻度の高い法人様を管理する機能を搭載しています。広告配信やメールマーケティングや長期連泊・団体予約の簡単管理など、メーカーごとに多角的なアプローチが伺えます。
ホテル管理システム(PMS)の選び方・比較ポイント
PMSの選び方と比較のポイントを2つお伝えします。タイプの違いを踏まえて、さらに候補を絞っていきましょう。
対応するサイトコントローラーの種類
サイトコントローラーは、自社HPの予約システムと複数の宿泊予約サイトをまとめて管理できるシステムです。PMSはメーカーや商品によって連携可能なサイトコントローラーが異なるので、すでに利用しているものがある場合は要注意です。
また、サイトコントローラーとの連携に別料金が設定されているシステムもあるため、導入前に確認してください。別料金が必要になる場合があるものの、PMSとサイトコントローラーが連動する恩恵は大きいでしょう。
オーバーブッキング・ダブルブッキングを防げたり、価格変更を一元管理できたり、予約管理業務の負担軽減が期待できます。ぜひ前向きに検討してみてください。
備わっている機能の豊富さ
同じタイプや価格帯のシステムでも、備えている機能には個性があります。機能を無駄なく使い切れるPMSに巡り合うには、求める機能や改善しなければならない課題の入念な洗い出しが先決です。小人数の予約が大半を占めるのに、団体予約の処理に秀でた機能が搭載されていても使用する機会は訪れません。
何が必要で、何が不要か、基準となる物差しを明確にしてからPMSの比較に取りかかりましょう。そうすれば、要した経費に対して、最大限の機能を備えたPMSを選び取れるはずです。
ホテル管理システム(PMS)15選
おすすめのPMSを15種類厳選しましたので、ご自身の施設が抱える課題と照らし合わせて最適なものを選んでみましょう。
Dynalution
Dynalutionは、施設の状況に合わせた運用が可能なクラウド型のPMSです。
提供するダイナテックはLINEの公認テクノロジーパートナーであり、PMSにLINEを掛け合わせて、DXの推進と自社予約の強化をサポートします。たとえば、ゲストはLINEから客室精算やチェックアウトの手続きが可能で、スタッフにとってはフロント業務の省力化が期待できます。
サポート体制も24時間365日ですから、PMSの利用が初めてという場合も安心して利用できるでしょう。
aipass
aipass株式会社のaipassは、28,000室以上の導入実績があるPMSです。
月額20,000円から導入できるため、客室数が50室を下回る小規模ホテルでも候補に入るシステムです。導入から運用開始に至るまで、複雑な設定を専任の担当者がサポートし、現場への浸透を加速させます。誰でも使いこなせる操作性が強みなので、スタッフの研修の手間を削減できるでしょう。
宿泊客専用のアプリも搭載で、スマートフォンでのチェックインをはじめ、QRコードによるルームオーダーやレストランの注文などにも対応しています。運用開始後も差し替え可能なプライグインとともに、施設の現状に合わせていける柔軟なPMSです。
Wincal
株式会社ALMEXのWincalは、ビジネスホテル向けのPMSです。
フロント業務の負担軽減に重点を置いた現場主義のシステムで、フロントスタッフの快適な仕事を実現します。宿泊数を入力するとチェックアウト日が自動反映されたり、チェックアウト日を変更すると泊数も自動変更されたり、随所でスタッフの負担軽減を徹底。マルチウインドウでの画面操作は、並行処理が発生しがちなフロント業務に理解のある仕様となっています。
スタッフにゆとりが生まれれば施設のおもてなしが向上する、という考え方が基盤にあります。
ホテルマネージャーシリーズ
株式会社ユーコムのホテルマネージャーシリーズは、800以上の施設に導入されてきた実力派のPMSです。
40年以上にわたりホテル管理システムを開発してきた実績を武器に、施設に合わせたPMSをフルカスタムで提供しています。施設に合ったシステムを選ぶのではなく、システムが施設に合わせてくれるため、施設の状況・規模を問いません。機能を増やしやすく絞りやすい、間口の広いPMSです。
HMS AG3
株式会社スニットコンピュータのHMS AG3は、大規模ホテル向けのPMSです。
団体予約の取り扱いに秀でており、料理や手配品を管理する機能が充実しています。顧客分析が得意分野で、自由度の高いキーワード設定による情報抽出の自在さも魅力です。自社開発ソフトゆえにカスタマイズ性に優れ、連携可能な外部機器やシステムが多く、既存設備と噛み合えば導入コストの削減も期待できます。
24時間365日のサポート体制を自社のエンジニアで形成できるのも自社開発の強みといえるでしょう。
宿OH!Pro
株式会社ナバックの宿OH!Proは、10~300室程度の施設に対応可能、オールラウンダーなPMSです。
同社が扱うPMSのなかでも最上位のスペックを有しており、ホテル管理に必要な機能の豊富さには目を見張るものがあります。PMSの標準的な機能に加えて、オプションで宴会や婚礼に重宝するシステムも完備。他方、マルチウインドウやショートカット作成など、操作性への細やかな配慮も伺えます。多彩な機能を満遍なく使いこなせる操作性抜群なPMSです。
GLOVIA smartホテル
富士通株式会社のGLOVIA smartホテルは、チェーンホテルへの導入で真価を発揮するPMS。
ホテル管理システム(PMS)のタイプで紹介した3つとは異なる第4のタイプです。カスタマイズ性が高く、チェーンホテル独自の会員システムがある場合も、それに合わせた調整が可能。店舗ごとの予約データを一つにまとめられ、本部からの予約状況の確認も可能にします。顧客分析に必要な情報が指令塔である本部に集まることで、レベニューマネジメントの最適化を実現。グループ全体の羅針盤となるPMSです。
AirHost
株式会社エアホストのAirHostは、自動化・効率化・省人化に特化したPMS。
サイトコントローラーやブッキングエンジンの機能も備えたオールインワン型のシステムです。
AI認証による本人確認やIoTスマートロックにより、非対面・非接触でのチェックインを可能にし、無人ホテルでも重宝されています。
複数の施設の一括管理にも長けており、民泊やゲストハウスからチェーンホテルまで、運営形態は問いません。
ホテル管理に必要な機能が詰まった全部乗せのPMSです。
Check Inn
Check Inn株式会社のCheck Innは、施設の規模・形態を問わないオールインワンのPMSです。
PMSに加えて、サイトコントローラーと自社予約システムが一体となっており、管理工数の削減が期待できます。あらゆる業務に一つの管理画面からアクセスできる導線の分かりやすさは、一体型のシステムならではですね。
初期費用が無料で、導入に踏み切りやすいのもうれしいポイント。他社サービスからの乗り換えに対するサポートも手厚く、切り替え時のデータ登録と設置代行を無料で受け付けています。
HOTEL SMART
xxx(エイジィ)株式会社のHOTEL SMARTは、2,000施設の導入実績があるシェアの広いPMSです。
モバイルチェックイン機能を搭載し、無人化されたホテルでのチェックインの対応が可能に。導入される施設を選ばないだけにとどまらず、オプションによる複数言語の翻訳もシステム上で行えるため、使用者も選ばないというまさに万能型。オプショナルツアーの販売やSNS連携によるリピーターの創出などを手掛け、ゲストの満足度と平均客室単価を向上に活躍します。
施設様のアイデアを実現する力を秘めたPMSです。
Staysee
ステイシー株式会社のStayseeは、3つのプランで費用が分かりやすいPMS。
施設の規模を基準にプランを選べる設計で、それぞれに最適化されています。大規模ホテル向けのプランで月額9,980円と破格のコストパフォーマンスの秘密は、Webで完結するクラウド型のホテルシステムだからです。設備を追加するコストの削減が、安価で良質なサービスの提供を実現。
販売開始から3年ほどで約1,000施設がStayseeを導入し、現在も施設の規模を問わず活用されています。無料のお試し期間を設けているので、使用感を確かめながら導入を検討できます。
accommod
株式会社タップのaccommodは、小規模ホテル向けのPMSです。
同社は宿泊業界で35年以上の実績を有しています。タブレット1台でチェックイン/アウトが可能、レシート発行も対応しており、これから設備を揃えていく施設様にはコスト面で優良な選択肢といえるでしょう。ルームインジケーターから直接チェックインをかけられるため、パソコンで稼働させるPMSと使用感の違いはあれ、操作性は抜群です。必要となる設備が少ない分、フロントに設置する際の自由度も高いでしょう。
英語・中国語・韓国語で再び熱を帯びるインバウンド需要にも対応。小規模の施設様にとっては、有力候補となるPMSです。
innto
株式会社アルメックスのinntoは、使い心地を追求したカプセルホテル・ビジネスホテル向けのPMS。
予約の移動や部屋のアサインをドラック&ドロップのみで簡単に変更、カレンダーで空いている日にちを選べばそのまま新規予約の作成と操作が快適です。トレーニングいらずの直感的な操作性で、現場にすぐに導入が可能。クラウド型のシステムで導入コストを抑えた上で、1ベッド199円という特徴的な価格設定で無駄を削ぎ落した月額料金を実現します。
INCHARGE 7
株式会社JTBビジネスイノベーターズのINCHARGE 7は、施設側でのバージョンアップを必要としないクラウド型のPMSです。
特筆すべきは情報保管に関する防災性と防犯性の高さ。クラウド型の特性を活かして、施設運営に必要な全ての情報を同社のデータセンター内で管理しています。自然災害などで設備に被害が出ても、情報をすばやくリカバリーできるのは、非常時に避難所としても機能するホテルには頼もしい機能です。
また、マイクロソフト社と提携しており、安定的な稼働と防犯性も確保されています。
NEHOPS
日本電気株式会社(NEC)のNEHOPSは、2つの選択肢が分かりやすい施設規模を問わないPMSです。
ホテル運営の基本的な部分を担う程度で問題なければスタンダード、PMSにサービスのレベルアップや売上向上まで高い水準で求めるならハイグレード。迷う余地のないラインナップで、早期導入を促進します。
PMSとそのほかの管理機能の連動性に重点を置いており、ホテル運営に係るさまざまな機能との一体化を加速させます。たとえば、ルームマネジメント機能と連動して、ゲストに応じた空調管理が可能。多様化するホテルの業態とそれに伴う需要の細分化を柔軟に受け止める、器の大きいPMSです。
ホテル管理システム(PMS)でフロントや客室清掃の業務を効率化
ホテル管理システム(PMS)には、施設の規模やスタイルに合わせた多種多様なタイプがあります。メーカーによって重要視している事柄も異なり、搭載される機能には個性が光ります。
人力では労力が大きすぎる業務を肩代わりし、効率化にとどまらず、収益向上の糸口まで示してくれるPMS。どれを選んでも便利であることに変わりはありませんが、それらのポテンシャルを十全に引きだすには、ご自身の施設の現状把握が欠かせません。課題に目を向けるだけでなく、すでに滞りなく運営ができている部分を把握するのも大切です。不要な機能・オプションを的確に削れるので、コストの最適化につながります。 PMS導入に際しては「何を足すべきで、何を省くべきなのか」を指針として持っておきましょう。
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