ホテル・旅館の顧客管理システムとは?導入メリットや選び方、おすすめを紹介
ホテル・旅館の顧客管理システムとは?導入メリットや選び方、おすすめを紹介
自社ホテル・旅館の売上向上を目指してリピーター獲得に注力したいと考えている経営者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、ホテルや旅館などの宿泊施設においてリピーターを増やすことの重要性について解説します。
また、リピーター獲得のための具体的な施策なども詳しく紹介するので、ぜひ参考にして下さい。
ホテル・旅館の顧客管理
顧客管理とは、お客様の情報を記録して管理するシステムを指します。管理する顧客情報には、氏名や住所、性別、年齢といった個人情報のほか、サービス利用履歴や問い合わせ履歴などのデータがあります。
顧客管理を実施することでお客様一人ひとりに合った対応が可能となり、顧客満足度が上がったりリピート率が増加したりする効果が期待できるのです。また客層を把握できる点から、マーケティングに利用することもできます。
ホテル・旅館で顧客管理システムが必要な理由
ホテルや旅館ではより良いサービスを提供するために、お客様の食事の好みやアレルギーを管理しておく必要があります。また記念日などの詳細な情報も管理しておけば、よりお客様に寄り添った対応が行えるようになるでしょう。このようにホテルや旅館などの宿泊施設で管理する情報量は、ほかのサービス業に比べて圧倒的に多いです。
しかし、このような顧客情報を宿泊名簿などの紙ベースで管理した場合、情報の記録や確認に非常に手間や時間がかかってしまいます。そこで効率的に顧客情報を管理するために、顧客管理システムを導入するホテルや旅館が増えているのです。
顧客管理システムをホテル・旅館に導入するメリット
顧客管理システムを宿泊施設に導入するメリットには、以下の4つが挙げられます。
- 顧客満足度の向上
- マーケティングへの活用
- 顧客データの管理
- 業務効率化・負担軽減
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
顧客満足度の向上
顧客管理システムを導入すれば、膨大なデータの顧客情報でも保存できます。また必要なときにいつでも確認できるため、お客様一人ひとりに合った接客が可能になるでしょう。
たとえば眺めの良い部屋に泊まりたい、自動販売機のある階が良いといった客室へのリクエストを保存しておけば、次回予約があった際に要望に合った部屋を用意できます。このようにお客様ごとに適切なサービスを提供すれば、顧客満足度の向上が期待できます。
マーケティングへの活用
顧客管理システムでは、顧客の属性や利用金額などマーケティングに必要な情報を分析して経営に活用することもできます。顧客管理システムでは自動的にデータを分析してくれますので、よりスムーズにマーケティングに活用できるようになります。たとえば顧客管理システムで顧客データを分析して、自社のお客様に合った宿泊プランを作ったり改善したりできるでしょう。
特にオンライン広告のターゲティングでは大きな効果が期待できますので、Webマーケティングには非常に役立ちます。
顧客データの管理
顧客データの管理がスムーズに行えるメリットもあり、オンラインで顧客データを管理しますのでデータを一元管理できます。そのため、予約からチェックアウトまでにおけるさまざまなシーンにおいて、顧客データを活用してスタッフが適切な接客を行えるようになるでしょう。
業務効率化・負担軽減
顧客管理システムでは入力した情報がすぐにシステムに反映され、データ分析などの作業も自動で行ってくれますので業務効率化に役立ちます。また顧客情報をすぐに確認できますので、スタッフ交代時の引継ぎが不要となるなど負担軽減にもつながるのです。
また情報を共有できる機能から、予約の問い合わせや宿泊しているお客様から連絡があった場合に、担当者担当者以外のスタッフでも対応できるメリットもあります。
顧客管理システムの選び方・比較ポイント
顧客管理システムを選ぶ際にチェックすべきポイントは、以下の5つです。
- マルチチャネル対応
- システムの連携性・拡張性
- 使いやすさ
- 導入費・利用費
- セキュリティ・サポート体制
それぞれのポイントについて確認していきましょう。
マルチチャネル対応
マルチチャネルとは、お客様が宿泊施設とコンタクトを取る際に利用するプラットフォームが複数ある状態を指します。プラットフォームの例には、自社HPやSNS、e-mailなどが挙げられます。
マルチチャネルに対応した顧客管理システムならば、どのプラットフォームから問い合わせがあっても一元的に問い合わせ履歴などの情報を管理できます。そのため、お客様に対してより適切に対応できるようになるでしょう。
システムの連携性・拡張性
導入した顧客管理システムが既存のシステムと連携できれば、顧客情報を総合的に管理できるようになります。特にBooking.comやExpediaといったオンライン旅行会社の予約システムと連携できるかどうかは非常に重要なポイントです。連携できていないと、システムごとに同じ顧客の情報が複数存在してしまうといったトラブルが生じてしまう可能性がありますので、要注意です。
また将来的な事業拡大や多様化したサービスに対応するために、顧客管理システムの拡張性も確認しておきましょう。具体的には、システムを提供している企業が随時アップデートを行っているかどうかといった点をチェックすることが重要です。
使いやすさ
顧客管理システムは、使いやすさも重要なポイントです。直感的に操作できるツールならば、操作方法を自然と覚えやすいです。新しく導入されたシステムに対して苦手意識があるスタッフでも、問題なく使えるかどうかを基準にして選ぶとよいでしょう。
導入費・利用費
顧客管理システムの導入費は、無料~数百万円であり、システムの性能によって大きく幅があります。自社に必要な機能を備えた製品を提供している企業を選んだ上で、相見積もりを取ることが重要です。
また顧客管理システムは大量の顧客情報を蓄積したうえでデータを分析して経営に役立てることが目的なので、長期的に使えることも重要です。そのためには、利用費もチェックしておきましょう。利用費の相場は5~30万円/年ですので、導入を予定しているシステムの利用費が相場に合っているかどうか確認しておきましょう。
セキュリティ・サポート体制
宿泊業では多くのお客様の個人情報を扱いますので、顧客管理システムのセキュリティやサポート体制も重要です。セキュリティ面をチェックするポイントには第三者機関による認証が挙げられますので、この点を確認しておきましょう。またスタッフから情報が漏えいしてしまう可能性もありますので、必要以上の情報に対してアクセスできないように権限を与える機能も求められます。
また使い方が分からなかったり不具合が生じたりしたときに、サポートしてくれる体制が整っているかどうかも確認しましょう。システムの管理や運用に自信がない場合には、システム導入時の設定を代行してくれたり電話やe-mailで相談ができたりするサポートがある企業を選ぶとよいでしょう。
ホテル・旅館ならPMSの導入もおすすめ！
ホテルや旅館ではPMSを導入しておけば、顧客満足度の向上や業務効率化に役立ちます。PMSとは「Property Management System」の略称であり、「ホテル管理システム」と訳されます。PMSには顧客管理システムだけでなく、予約管理や施設管理などのさまざまな機能が備わっていますので、宿泊施設には欠かせないシステムといってよいでしょう。
PMSで利用できる顧客管理以外の機能とは?
PMSでは顧客管理以外にも、予約の受付や管理を行う機能が備わっています。予約機能を使えば、自社HPに予約カレンダーや予約機能を組み込めます。
また他社の旅行予約サイトからだけではなく、自社HPからも直接予約できるようになりますので、リピーターを獲得する可能性も高まります。なお予約は自動で登録されるので、ダブルブッキングの心配もありません。
ほかにもPMSでは、チェックインやチェックアウトの登録、請求書の印刷などのフロント業務もシステムでスムーズに行えます。チェックアウトの処理や売上登録などを行えるPMSもありますので、このようなシステムを導入すれば全てのフロント業務をデジタル化できます。
さらにリネンや食事などに必要な手配品を一括管理できる点から、施設管理にも役立ちます。
ホテル・旅館におすすめのPMS
ホテルや旅館におすすめのPMSには、以下の6つが挙げられます。
それぞれの概要や特徴について詳しく見ていきましょう。
- Dynalution
- Wincal
- HOTEL SMART
- NEHOPS
- GLOVIA smartホテル
- Check Inn
Dynalution
Dynalutionとはダイナテック株式会社が運営するPMSであり、LINEとの連携が可能である点が特徴です。お客様にチェックイン情報や館内案内、特別プランの案内などをLINEでご案内できます。また24時間365日のフルサポートが付帯していますので、初めてPMSを導入する場合でも安心してシステムを利用することが可能です。
Dynalutionの主な機能は、以下の通りです。
- フロント会計
予約情報や滞在中のレストランや売店の利用履歴から、会計情報を作成します。 - 予約管理
予約情報の管理や過去の予約を記録します。 - リピーター管理機能
顧客情報に紐づいた嗜好や利用履歴、手配品などのメモを確認できます。
オプション機能も充実しており、タブレットで清掃ステータスを確認できるシステムや婚礼などの大人数利用における予約管理や手配書作成などができるシステムなども魅力です。
Wincal
WincalとはUSEN&U-NEXT GROUPの株式会社USEN-ALMEXが提供するPMSであり、ビジネスホテルや宿泊型ホテルに向いているシステムです。簡単かつ直感的な操作が特徴であり、使い慣れやすいシステムとなっています。
Wincalの主な機能は、以下の通りです。
- フロント業務
予約管理や客室の管理、締め作業などのフロント業務を一貫して行えます。 - 売掛管理
売掛のあるお客様を一覧で表示して管理できます。 - デイユース管理
宿泊だけでなく、デイユースプランも販売できます。 - 駐車場管理
駐車場の予約や空き状況を管理できます。 - 自社ポイント管理
自社ポイントを導入することも可能です。
オプションとして自動精算機やクレジット専用精算機、非接触式カード錠システムなどがありますので、自社に合ったカスタマイズも可能です。
HOTEL SMART
HOTEL SMARTはxxx株式会社が運営しており、ホテルや旅館だけでなく、ゲストハウスなどの全国2,000以上の宿泊施設で導入されている実績があります。モバイルチェックインやモバイルオーダーにも対応している点から、お客様が気軽に利用できる機能が豊富に備わっている点が特徴です。
HOTEL SMARTの主な機能は、以下の通りです。
- 予約・顧客管理
お客様の予約情報や属性などを管理できます。 - 自動料金科目仕訳
自動で料金を仕訳してくれます。 - 自動部屋割り
予約状況に応じて、自動で部屋を割り振ってくれます。 - 客室清掃管理
客室の清掃状況をフロントから管理できます。
HOTEL SMARTの自動精算機は日本語だけでなく、英語や中国語、韓国語にも対応しています。そのため、外国人観光客が多い地域の宿泊施設におすすめです。
NEHOPS
NEHOPSとは大手システム企業であるNECが提供するPMSであり、宿泊施設の規模や業態によって2つのラインナップを選べる点が特徴です。「ハイグレードタイプ」と「スタンダードタイプ」の2つがあり、自社に合ったシステムを利用できます。
NEHOPSの主な機能は、以下の通りです。
- 宿泊システム
顧客情報をもとに収益を最適化するための販売コントロールを行えます。 - 婚礼・宴会システム
会場の管理や食事の用意などの業務を効率化できます。 - レストランシステム・レストラン予約システム
レストラン業務における会計や予約などを一元管理できます。 - 購買システム
発注業務において、コストダウンを目的とした発注などの業務をサポートしてくれます。 - 売掛システム
宿泊だけでなく、宴会やレストランの売掛データも管理できます。
同じホテルチェーン間で情報を統合管理できるので、大型ホテルチェーンに利用されているケースが多いです。また専用オペレーターがシステムを運用してくれますので、さまざまな規模の宿泊施設で導入できるようになっています。
GLOVIA smartホテル
GLOVIA smartホテルとは富士通Japan株式会社が運営するPMSであり、約1,000社の宿泊施設で導入されています。「クラウド型」または「パッケージ型」の2種類のサービスを提供しており、自社に合ったシステムを選んで導入できます。
GLOVIA smartホテルの主な機能は、以下の通りです。
- フロントのサポート
予約管理や受付業務、会計などのフロント業務をサポートしてくれます。 - 婚礼・宴会システム
ホテルで行う婚礼や宴会において、費用の見積もりや打ち合せの管理ができます。 - レストラン/POSシステム
ホテル館内のレストランや売店における精算機能を利用できます。 - 売掛システム
宿泊、婚礼、宴会、レストランのそれぞれで発生した売掛を一元的に管理できます。 - 購買システム
取引先への支払い管理や在庫管理など、バックオフィス業務を総合的にサポートしてくれます。
経営分析に役立つ稼働率や売上見込みなどを自動計算して、同じ系列のホテルで連携できる機能からチェーンホテルでの導入実績が豊富です。
Check Inn
Check Innとは、Check Inn 株式会社が運営するPMSです。導入費用が無料であり、トライアル期間もあることからコストを抑えてPMSを導入できる点が魅力です。
Check Innの主な機能は、以下の通りです。
- 自社HPの予約システム
ページ遷移せずに自社HPで直接立ち上がる宿泊予約システムをコードの埋め込みだけで実現できます。 - サイトコントローラー
サイトコントローラーという独自の機能によって、一つの管理画面で自社HPやオンライン旅行代理店の在庫や料金、予約情報を一元管理できます。 - 部屋割り・予約管理
予約状況に応じて、自動で部屋割りしてくれます。 - 売上管理
商品別の売上や旅行会社別の売上などグループごとに分けて集計できます。
自社HPだけで予約できるため、顧客が利用しやすくなります。また社内システムも直感的に操作できる仕組みとなっていますので、利便性に優れています。
顧客管理システム活用で新規顧客やリピーターを獲得しよう
本記事では、宿泊施設に役立つ顧客管理システムやPMSについて解説しました。これらのシステムを導入すれば、業務の効率化やマーケティングの活用に役立つでしょう。
自社に合ったシステムを利用すれば高いコストパフォーマンスを得られます。そのため、システムを導入する場合にはシステム企業の担当者と入念に相談して、自社に必要な機能を備えた製品を選ぶことが重要です。
※掲載されている内容は更新日時点の情報となります。
