競合ホテルの差別化戦略!現状分析の方法や宿泊プランアイデアも紹介
競合ホテルの差別化戦略!
現状分析の方法や宿泊プランアイデアも紹介

インバウンド需要の高まりもあり、近年ホテルの宿泊者は増加傾向にあります。
このような中で、自社ホテルへの宿泊者を増やすためには、いかに他のホテルとの差別化を図るかが重要となります。
競合他社もさまざまなプランやサービスを用意し、あの手この手で宿泊者を誘致しています。
そのため、競合他社と同じアプローチをするだけでは効果的に宿泊を促すことはできません。
差別化を図るためには、自社ホテルの強みや特徴を理解した上で、ターゲットを明確化し、戦略的にマーケティング施策を講じていく必要があります。
そこで、今回は、ホテル業界における差別化戦略について、現状分析の方法や宿泊プランなどのアイデアを紹介します。
競合ホテルとの差別化を図るときのポイント

競合ホテルとの差別化を図るときのポイントとして、以下の3つが挙げられます。
宿泊予約を増やす上で、競合ホテルとの差別化を図ることは重要です。
とはいえ、闇雲に差別化を図ろうとしてもうまくはいきません。
効果的に競合他社との差別化につなげるためには、自社ホテルの現状分析を行いつつ、以下のポイントを踏まえ、戦略的に行うことが重要です。
それぞれについて、解説します。
ターゲットを決める
ターゲットの明確化は、どのような業種であれマーケティング施策には欠かせません。
自社ホテルにおいても、どのようなユーザーに利用してもらいたいのかをあらかじめ明確にしておくことで、その後のマーケティング精度を高めることが可能となります。
例えば、20代カップルと50代のシニア層、訪日外国人観光客であれば、それぞれ効果的なアプローチ手法は違ってきます。
ターゲットを明確にしておかなければ、宿泊プランやサービスなどを用意したとしても、ユーザーに響かず、無駄に終わってしまう可能性があります。
一方、自社ホテルの強みや特徴を踏まえ、明確化したターゲットに対して適切にアプローチすることができれば、宿泊予約を増やし売上増加や利益拡大につなげることができます。
コンセプトを決める
ターゲットが明確になったら、そのターゲットに向けたコンセプトを決めていきます。
このコンセプトは、自社ホテルにおいて今後提供していくサービス全般に影響します。
そのため、ターゲットのニーズを深掘りし、より具体的なコンセプトを選定していくことが重要です。
コンセプトを決める際には、ターゲットユーザーの潜在ニーズを分析すると効果的です。
ユーザーニーズの多様化に伴い、ユーザーが求める要素は常に変化し続けています。
それゆえに、過去の宿泊履歴や利用者の属性情報、利用プランやサービスの傾向などを分析するとともに、どういったニーズがあるのかを可視化すると効果的です。
自社と競合の強みを分析する
ターゲットとコンセプトが決まれば、その要素における自社と競合の強みを分析します。
この際、ポジショニングマップというマーケティングのフレームワークを活用すると効果的です。
ポジショニングマップとは、競合他社を含むホテル業界において、自社ホテルがどこに位置しているのかを可視化できます。
金額と品質、年齢と地域など異なる2軸によって構成されるグラフにおいて、対象のホテルを分類していくことで市場における立ち位置を明確化することが可能です。
その上で、今後目指すべきポジションや優位性を確保するための戦略などが導きやすくなるため、差別化を図る上で有効活用できます。
ポジショニングマップを使った競合分析(STP分析)

ポジショニングマップを使った競合分析(STP分析)とは、フィリップ・コトラー氏が提唱したSegmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取ったマーケティングにおけるフレームワークです。
STP分析によって、市場における自社の立ち位置や競合分析などを効率的に進めることが可能です。
それぞれの特徴について、紹介します。
Segmentation(セグメンテーション)
Segmentation(セグメンテーション)は、市場を細分化して顧客を特性やニーズに応じて分類することです。
代表的な領域として、以下の4つが挙げられます。
- 地理的変数(ジオグラフィック変数)
国や市区町村などの地域・都市における規模や発展状況、気候、風土、文化、宗教などの要素のことを表します。 - 人口動態変数(デモグラフィック変数)
性別や年齢・年代、職業、所得・収入、学歴、家族構成など人における特性に関する要素のことを表します。 - 心理的変数(サイコグラフィック変数)
価値観やライフスタイル、心理的特徴など人が感じる特性に関する要素のことを表します。 - 行動変数
過去の購買履歴や購買プロセス、頻度などユーザーの行動に基づく要素のことを表します。
Targeting(ターゲティング)
Targeting(ターゲティング)は、先ほどのセグメンテーション(市場の細分化)をもとに自社のターゲットを絞ることです。
基本的には自社の強みや特徴を踏まえて、コンセプトをもとに顧客を選定していきます。
このターゲティングを行う方法は、以下の3つに分類されます。
- 集中型マーケティング
特定のターゲットに絞り、市場シェアの拡大を狙うマーケティング施策です。 対象ユーザーに対して最大限にアプローチしていくことができるため、効率よく集客や売上増加につなげることができます。 - 差別型マーケティング
細分化された複数の市場に対し、それぞれのニーズを踏まえたアプローチをするマーケティング施策です。 コンセプトに応じてマーケティング手法を使い分けることで、運用効果を高めることが期待できます。 - 無差別型マーケティング
セグメンテーションによって細分化した市場を無視して、広くアプローチするマーケティング施策です。 ターゲットを無視して訴求するため資金力などが求められますが、認知度拡大やブランディングにおいては効果が期待できます。
ポジショニング(Positioning)
ポジショニング(Positioning)は、セグメンテーションやターゲティングを踏まえ、自社の立ち位置を明確化することです。
市場における自社のポジションを可視化することができれば、その後の戦略や施策にも落とし込みやすくなります。
例えば、競合が少ないポジションであれば、マーケティング施策を強化することでその市場におけるシェアナンバー1の地位を確立できるかもしれません。
一方で、競合が多いポジションであれば、通常のマーケティング施策では優位性を確保することが難しいため、その中でいかに差別化を図るかが重要になります。
このようなポジショニングをより効果的に行うには、「競合ホテルとの差別化を図るときのポイント」のところでも触れたポジショニングマップを活用すると効果的です。
ホテル差別化の方法

ホテル業界における差別化の方法は、オンラインとオフラインの施策に分かれます。それぞれについて、紹介します。
オンラインでの差別化
オンラインで差別化を図る上で、自社ホテルのホームページは欠かせません。
ユーザーは、宿泊施設の情報を収集するために、さまざまなホテルのホームページを閲覧します。
そのため、ホームページ内でいかにホテルの魅力を訴求できるかが、宿泊予約の獲得に大きく影響します。
宿泊プランの紹介はもとより、客室や温泉、食事案内、外観や客室からの景色、周辺の観光情報など、写真や動画などを活用しながら魅力的にアピールしていくことが重要です。
特に、ホテル業界は、比較サイトやポータルサイトなどによって競合ホテルと比較されます。
そのため、競合ホテルが紹介していない内容を掲載したり、ターゲットとなるユーザーの目を惹く訴求をしたりすると効果的です。
また、近年のSNSの浸透に伴い、ホテル業界においても多くのホテルがSNSを活用しています。
拡散力の高いSNSであれば、ユーザー経由で自社のホテルが広まり、多くの宿泊予約の獲得が期待できます。
特に、訪日外国人観光客はSNSを見て興味を持つ傾向にあるため、海外からの宿泊予約の獲得が目的の場合に、SNSは有効です。
とはいえ、SNSは多岐に渡り、媒体によって仕様も異なるため、ターゲットを踏まえて、展開していくことが求められます。
オフラインでの差別化
自社ホテルの差別化を図るためには、オフラインでの対策も重要です。
たとえホームページやSNSなどで魅力的な訴求を行ったとしても、ユーザーが求める宿泊プランがなかったり、実際に宿泊した際に満足してもらったりしなければ、意味がありません。
というのは、リピーター獲得につながらず、口コミなどにより悪影響を及ぼすおそれがあるからです。
まずは、訴求した内容をもとにサービスを徹底するとともに、オフラインでも魅力的なサービスを提供することが重要です。
例えば、誕生日やアニバーサリー向けの限定サービス、周辺の観光地と連携した割引キャンペーンなどがあると、興味関心を促すことにつながります。
また、訪日外国人観光客に対しては、外国語で対応したり、日本ならではのサービスを提供したりすることも競合ホテルとの差別化となり効果的です。
このように自社のホテルならではのサービスを提供することができれば、リピーターの獲得や顧客単価の向上、良い口コミの増加などにつながり、売上増加や利益拡大につながります。
面白い宿泊プランもホテルの差別化におすすめ!

ホテルの差別化を図る上で、面白い宿泊プランもおすすめです。
そこで、ホテルの差別化におすすめの面白い宿泊プランについて、具体的なアイデアや説明文の注意事項などを紹介します。
ユニークな宿泊プランのアイデア
競合ホテルとの差別化を図るには、いかにターゲットユーザーに対して付加価値をアピールできるかが求められます。
例えば、先ほど触れた誕生日やアニバーサリー向けにケーキを用意したり、家族向けに子ども用の食事を用意したりすることも付加価値となります。
その他の付加価値となるサービスの例は、以下のとおり。
- ビジネスユーザー向けにスーツやワイシャツのクリーニング
- シニア層向けに食事を少なめにする
- 訪日外国人観光客向けに外国語対応スタッフを配置する
- ペットと泊まれる客室プラン
このようにサービスや宿泊プランには、ユニークなアイデアが無数にあります。
いずれもターゲットユーザーのニーズを踏まえて展開することが求められますが、ユーザーの潜在ニーズは多岐に渡ります。
そのため、STP分析などをもとにニーズを深掘りすることが重要です。
宿泊プラン名や説明文にも注意しよう
差別化した宿泊プランを用意することができたら、ターゲットユーザーに向けてアプローチしていきます。
どれだけ魅力的な宿泊プランやサービスを提供しているとしても、ユーザーの目に触れなければ、宿泊予約の獲得にはつながりません。
そのため、ホームページやSNSにおいて、わかりやすく訴求することが重要です。
また、ホテル業界においては、ポータルサイトや比較サイトも重要な集客源となります。
このような媒体においては、競合ホテルと並んで表示されることが多いため、いかにユーザーの目に留まり、クリックさせるかが重要になります。
イメージが伝わる画像や興味を惹くキャッチフレーズなど工夫を凝らし、プラン名や説明文も意識しながら、アプローチすると効果的です。
サービスや宿泊プランで競合ホテルとの差別化を狙おう

インバウンドをはじめ観光需要が高まる昨今において、自社ホテルの宿泊予約を増やしていくためには、競合ホテルとの差別化が重要になります。
1人でも多くの宿泊予約を獲得するために、競合ホテルもマーケティング施策を強化している状況では、ただ単にホームページを作るだけでは効果につながりません。
差別化を図るには、自社ホテルの強みを把握し、市場における立ち位置を明確化しておく必要があります。
今回紹介したSTP分析や競合ホテルとの差別化につなげるポイントなどを参考に、効果的に自社ホテルの優位性を高めていきましょう。
※掲載されている内容は公開日時点の情報となります。