客室清掃を効率化!ホテル清掃管理システムのメリットや比較ポイントを紹介

客室清掃を効率化!ホテル清掃管理システムのメリットや比較ポイントを紹介

お客様の快適なひとときに直結する客室清掃。ホテルの運営からは決して切り離せない業務のため、課題を抱えているケースも多いのではないでしょうか。

本記事では、客室清掃を取り巻く現状を踏まえながら、直面しやすい課題を抽出。
課題の解決や業務の効率化を図る手段、清掃管理システムの導入など、包括的に解説していきます。

ホテルの客室清掃における現状と課題

労働時間の長さとシフト制ゆえの不規則な就業リズムから、ホテル業界は離職率が高い傾向にありました。人手不足が続いていたにもかかわらず、コロナ禍により宿泊客が大幅に減少しました。先行きが見えない状況のなか、経費削減や人員削減で疲弊したホテル業界。

経営が立ち行かない施設の増加と業界に従事する人の減少が進んだのち、その原因となったコロナ禍は徐々に収束。一度は受け入れを停止した外国人観光客も、徐々に制限が緩和されました。しかし。回復していく需要に追いつけず、慢性的な人手不足に悩まされる施設も少なくないのが現状です。

ホテルの客室清掃を効率化する方法

ホテルの客室清掃を効率化する方法

ここでは、ホテル客室清掃を効率化する具体的な方法を4つ紹介します。

業務マニュアルを作成する

スタッフが練度に左右されることなく最適な手順を踏めるよう、業務をマニュアル化して工程を可視化しましょう。業務マニュアルでスタッフによる差異を減らすことで、備品の配置やベッドメイキングに統一感が生まれ、清掃完了後の点検もスムーズに終わるでしょう。また、客室清掃に要する時間の短縮にもつながります。

業務マニュアルは作成したら終わりではなく、業務での気付きや備品の更新にあわせて、適宜更新するようにしましょう。

研修やトレーニングを行う

継続的な研修やトレーニングの実施も欠かせません。新しく現場に入る清掃スタッフに、前もって実践つきでベッドメイクの手順を伝えておくだけでも業務の効率化が期待できます。業務マニュアルも適宜活用して、技術の早期定着を目指しましょう。

グループホテル同士で相互に従業員を出向させるのもおすすめです。異なる顔ぶれで新たな手法を模索したり、お互いに良い部分を真似たりすれば、グループ全体の業務の効率化も見えてくるでしょう。

必要な清掃道具を揃える

清掃道具一つで客室清掃の効率が上がることもあります。吸引力の低い掃除機より吸引力の高い掃除機の方が清掃は捗りますよね。利便性の低い道具は清掃の効率を下げるばかりか、スタッフのストレスにもつながってしまいます。

経費削減の観点からすれば、道具を長く大切に使う姿勢も育むべきですが、適切な時期でのアップデートは可能な範囲で行いましょう。また、ロボット掃除機の導入が人手不足の歯止めとなり、清掃の効率化を実現した事例もあります。それぞれの状況に合わせて、客室清掃に取り入れられるものを探しましょう。

業務マニュアルと同様に、清掃道具についてもコミュニケーションが鍵になります。スタッフが必要としているものはないか、不便を感じているものはないか、日頃から気にかけていれば用意すべきものが自然と見えてくるでしょう。

清掃管理システムを導入する

清掃管理システムには、スマホやタブレットを使用するものや客室のテレビを利用するものなど、さまざまな形式があります。商品ごとに搭載している機能に違いがあるため、抱えている問題と照らして、それらの解決に役立つものを選びましょう。

代表的な機能やメリットは次のパートで詳しく解説しますが、清掃管理システムの真髄はリアルタイムの情報共有です。客室のステータスや客室清掃の進捗など、対面や内線電話で共有していた情報はノンストップでの伝達が可能になります。

導入と維持に必要な費用やスタッフへの落とし込みに要する手間を考えると、即断即決は難しいでしょう。しかし、いざ導入して使いこなせるようになれば、客室清掃の心強い味方になります。

ホテル清掃管理システムの機能やメリットとは?

ホテル清掃管理システムの機能やメリットとは?

ホテル清掃管理システムに搭載されている機能やそれらを活用するメリットを4つピックアップし、具体的に紹介します。

清掃状況の管理

フロントと清掃スタッフ間で、全ての客室の清掃状況をリアルタイムで共有し、管理ができます。清掃スタッフはスマートフォンやタブレットのアプリを通じて、清掃状況を報告できるので、内線を使用するためにわざわざ移動する必要がありません。一方、フロントスタッフはチェックアウト業務の傍らで客室の滞在状況を更新可能となり、お客様の往来が激しい朝の時間帯でも柔軟に対応できます。

フロントと清掃スタッフの連携

ホテル清掃管理システムは、フロントと清掃スタッフの連携を高める潤滑油となります。
清掃項目や清掃の優先順位などの基本的な内容に留まらず、宿泊客の個別の要望やメンテナンスが必要な箇所の情報など、一元管理できます。選択式で指示内容を伝えたり、写真やコメントで指示を補足したりする商品もあり、コミュニケーションの簡略化を図れるでしょう。

清掃実績の管理

各部屋の清掃に要した時間を記録する機能も搭載。スタッフそれぞれの作業効率が可視化されるので、割り振る客室の数や指導の方向性を定める指標になります。部屋タイプごとに平均作業時間を算出することも可能で、清掃指示をより最適なものにブラッシュアップできます。

忘れ物の管理

発見されない日がないと言っても過言ではない忘れ物。手書きの帳票やITツールの表で管理しているケースも多いのではないでしょうか。ささいな作業量とはいえ、発生頻度の高い業務のため、効率化しない手はありません。清掃時に発見した忘れ物をスマートフォンやタブレットで撮影し、写真をシステムに登録するだけと、手順は簡単です。部屋番号や予約と紐づけて保存されるため、後から問い合わせがあった場合に、フロントスタッフが素早く情報を確認できます。

ホテル清掃管理システムの種類

ホテル清掃管理システムは4つのタイプに分類されます。自施設にはどれが合いそうか、実際の利用シーンを想像しながらお選びください。

清掃管理に重点を置いたシステム

機能を清掃管理に絞ったシンプルなタイプです。覚えるべき操作が少ないので、忙しい現場に短時間でなじませられるのが魅力です。比較的安価なものが多く、導入の敷居が低いのもうれしいポイント。予約やフロント会計を司るホテル管理システムとの連携機能を備えている商品もあり、どの施設様でも最適解になるポテンシャルを秘めています。

清掃の効率化に役立つ機能が満載のシステム

客室清掃に付随する業務まで幅広く補助する機能を備えたタイプです。清掃管理に役立つ基本的な機能を押さえつつ、メーカーごとに思考を凝らした機能が満載。消耗品の使用量を把握して自動で発注したり、清掃報告を確認して日報や月報を自動作成したり、システムによって多種多様です。このタイプは選択肢が豊富ですが、機能を十分に使いこなせないと宝の持ち腐れになってしまいますから、具体的に使用場面をイメージできるシステムを選びましょう。

インフォメーションサービスと一体化されたシステム

施設案内を客室で提供するインフォメーションサービスやVOD(ビデオオンデマンド)と一体化されたタイプ。
客室のテレビから清掃の開始・終了を入力できたり、お客様が清掃のリクエストをできたりするシステムもあります。
スマートフォンやタブレットで管理するものとは操作性が変わるため、どちらが現場で重宝されるか設備の配置や抱えている課題などに照らして検討しましょう。

ホテル管理システム(PMS)に組み込まれているシステム

施設運営に欠かせない複数の機能を包括的に搭載したホテル管理システム(PMS)に組み込まれているタイプ。新しい施設に導入するものを探している、システムを一新する予定がある、という場合におすすめです。

ホテル清掃管理システムの選び方・比較ポイント

ホテル清掃管理システムの選び方・比較ポイント

施設が抱える課題の解決に直結する、ホテル清掃管理システムの選び方と比較ポイントを3つお伝えします。

①忘れ物や故障設備の情報管理に対応しているか

施設のスタイルを問わない汎用性の高い機能があれば、清掃時に報告が上がりやすい忘れ物や設備の故障など、問題点を現場から即座に登録できます。主流はスマートフォンを活用したもので、撮影した写真に品名や部屋番号を紐づけて登録、システム上で検索できる仕組みです。

②突発的な清掃指示の変更をリアルタイムで共有可能か

フロントでも清掃でもイレギュラーな事態は、柔軟な対応が求められます。清掃の優先順位を色や表示順で視覚的に分かりやすく伝えたり、お客様の滞在予定の急な変更をリアルタイムで共有したり、システムごとに個性があります。とっさの判断が求められる場面で、労力の削減に貢献できる機能が搭載されているかを一つの判断基準にしましょう。

③施設の人員状況に適しているか

実際に使用するスタッフがストレスなく活用でき、かつ、負担が軽減されることは重要です。費用をかけて導入したシステムが現場で不評とならないよう、スマートフォンやタブレットに不慣れなスタッフでもすぐに使いこなせる操作性のもの、多言語対応のもの、施設の人員状況に合わせて吟味しましょう。

主なホテル清掃管理システムの機能や特徴

おすすめのホテル清掃管理システムを4つ紹介します。導入の参考にしてください。

D-TUS

ダイナテック株式会社の清掃管理システム「D-TUS」は、同社の提供するホテル管理システム(PMS)「Dynalution」のオプション機能として利用できます。
清掃ステータスの確認・変更をスマートフォンやタブレット上で行うことで、最新の清掃状況を簡単に管理。リアルタイム更新でフロントとリネンで情報を連携し、業務効率化につながります。また、忘れ物管理機能や管理者からの一斉連絡、チャット機能なども備えており、清掃に関する情報共有に細やかに対応しています。

Li-nen V2

株式会社ナバックが提供する「Li-nen V2」は、Wi-Fi設備さえあればスピーディーに導入可能で、清掃の効率化に役立つ機能が満載のシステムです。

指示と報告はワンタッチで行え、客室ステータスを色で簡潔に伝達できます。操作と情報共有に余分な時間を費やすことなく、ユーザビリティに富んでいます。メモやチャットメッセージ機能も搭載されており、必要に応じてより細やかなコミュニケーションも可能です。有料オプションとして忘れ物と故障の管理機能が用意されているので、予算と解決したい課題に合わせてカスタマイズできます。

清掃インジケーター

株式会社アイエムデータが手がける「清掃インジケーター」は、一つのライセンスで何名でも同時利用が可能です。

コストパフォーマンスが抜群で、清掃管理に重点を置いたシステムです。客室のステータス管理とコメントに機能が絞られており、現場への浸透に手間がかからないのがポイント。既存設備との連携や追加設備は不要で、単体での運用が可能なため、導入へのハードルは低いでしょう。

aipass for hotels

aipass株式会社が開発した「aipass for hotels」は、ホテル運営をトータルでサポート。清掃管理の機能がホテル管理システム(PMS)に組み込まれています。

特徴的なのは、施設別に設定可能な清掃タスクの機能。カスタマイズ性が高く、清掃中にチェックができる仕組みです。新人は清掃手順の道しるべとして、また清掃のやり残し防止など、活用方法はさまざま。英語対応もしていますので、外国人スタッフにも優しいシステムです。

清掃管理システムで、ホテルの長時間労働・人手不足を解決

長時間労働の傾向が強かったホテル業界。コロナ禍が招いた人手不足が向かい風を強くしている現状です。時間と労力が必要とされる客室清掃の効率化は、それらを改善する第一歩といえるでしょう。すぐに実行できるものや清掃管理システムの導入など、取れる手段はみなさまの目の前に揃っています。

どの方法で課題にアプローチする場合でも、目指すべき未来は一つ。それは「統一された基準で、全ての客室を同じ品質に仕上げる体制」です。客室清掃における最適解を携わるスタッフで共有し、全員が滞りなく毎日完了できる体制が、結果的に客室清掃の効率化を実現するでしょう。

理想的な体制に現場を整える助けとなるのが、洗練されたマニュアルや使いやすさを追求した掃除道具、そしてホテル清掃管理システムです。いつ泊まっても同じ質の客室へスムーズに案内されるのは、ゲスト目線から考えても安心とリピートの理由になります。ぜひ、ホテル清掃管理システムの導入をご検討ください。

経営・開業関連情報一覧へ

宿泊施設様向けお役立ち情報一覧へ

※掲載されている内容は更新日時点の情報となります。