宿泊施設の訪日外国人集客を成功に導く
インバウンド対策チェックシート
- 対策項目や実施状況の確認にも使える!
- 客室やレストランなどシーン別で紹介
- 必須チェックで優先度を決めて実施可能
インバウンドとは簡単にいうと、外国人が日本へ訪れる旅行のことです。逆に日本人が海外へ旅行することを、アウトバウンドと言います。
インバウンドの状況下は、日本に観光に訪れた外国人観光客をターゲットとして、大きな利益を上げるチャンスです。インバウンドへの対策を充実させることで、その効果はより期待できます。特に重要なのが多言語対応です。また、異文化に配慮した対応や、日本独自の文化体験なども需要があります。しかし、具体的にどのように対策すればいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、多言語対応が重要である理由や、その具体的な対応方法を解説します。そのほかにも、インバウンド集客アイデアについても詳しく解説しますので、ぜひ最後まで読み経営に活かしてください。
高品質なサービスを提供するには、多言語対応は必須です。適切な言語による対応ができないとサービスの質は低いままで、せっかくの外国人観光客のリピートを獲得できません。
観光庁が定期的に行っている訪日外国人へのアンケートによると、「施設等のスタッフとコミュニケーションが取れない」という項目が常に上位に入っています。そのほかに、「多言語表示のわかりにくさ・少なさ」もよく見かける回答です。アンケート結果からは店舗スタッフとの自由なコミュニケーションができないばかりか、地図や看板などの理解が思うようにできない状況が見て取れます。
コミュニケーションがうまく取れない旅行ほどつまらないものはありません。よほど日本が好きな外国人以外は、また行こうとは思わないでしょう。外国人観光客が安心して旅行を楽しめるよう、適切な言語での対応が求められます。
参照:訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査:観光庁
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_00004.html
多言語対応のメリットは計り知れないものがあります。
最大のメリットは顧客満足度の向上です。せっかく日本に旅行に来ても飲食店でメニューが読めない、ホテルや旅館のサービスや施設の情報が適切に理解できないのでは、楽しむどころではなくなります。旅行先での不安感は増すばかりです。外国人観光客の不安を解消するべく最低限の多言語対応をするだけで、満足度は大きく向上するでしょう。
言語の理解が進めば飲食や施設利用の頻度が増えるため、大幅な売り上げアップも見込めます。また、より丁寧な多言語対応をすることで、集客段階においても効果が期待できます。実際に施設を訪れ多言語対応に満足した外国人観光客による口コミで、さらなる宣伝効果を見込むことができ、メリットはより大きくなるでしょう。
多言語対応のデメリットを挙げるとすると、コストと手間の問題が考えられます。ホテルの案内やサービスメニューの多言語対応には、既存の案内の見直しと翻訳会社との調整が必要です。全ての多言語対応が完了するまでには、それなりの時間と費用がかかるでしょう。
フロントやレストランのスタッフにも複数言語での対応をさせる場合は、翻訳ツールや多言語対応のトレーニングが必要になります。設備に投資する費用の他に、スタッフ教育への投資も必要です。
世界には7,000もの言語があるとされており、多くの言語への対応を試みると膨大な時間と資金が必要となり、いつまで経っても多言語対応が完了しません。ある程度、主要言語に限定して多言語化を進めたいところです。
日本のホテルが対応すべき主要言語をピックアップしました。
英語は世界中で話されている共通言語ということもあり、多言語化には必須です。丁寧な英語での説明を添えておけば、言語がまったく分からないという外国人観光客は大幅に減るでしょう。
中国人観光客の多さを考えると、中国語も外せない言語です。中国語には、本土やシンガポールで使われている「簡体字」、と香港・台湾・マカオを中心に使用されている「繁体字」の2種類があります。本土から来る観光客数を考えると「簡体字」をメインにする方が良いのですが、可能であれば「繁体字」での案内もつけておくとより親切です。
日本は韓国国内で人気の観光地となっているため、訪れる韓国人観光客は中国人に次いで多いです。韓国語の案内も用意しておけば、より顧客満足度を高めることができます。
そのほか、場所によってはタガログ語・ラテン語・フランス語にも対応しておくとより万全です。
ホテルや旅館における多言語対応の具体例を6つピックアップしました。
宿泊施設の訪日外国人集客を成功に導く
インバウンド対策チェックシート
分かりやすいアイコンを設置しておけば、言語で伝わりにくい内容をサポートできます。特定の言語でなければ伝わりにくい外国人観光客でも、分かりやすいアイコンがあればある程度の不安は解消されるでしょう。決済方法や免税手続き、禁止事項や注意事項の表示などは、より目立つ位置にアイコンを表示しておくと効果的です。
ホテルなどの宿泊施設で、外国人観光客から寄せられる質問は大体決まっています。あらかじめ頻度の高い質問を中心に作成したFAQを用意しておけば、わざわざスタッフに声をかけることなく疑問を解消できます。スタッフ側も、同じような質問に何度も対応する時間を省略できます。
主な質問は、館内設備の場所・ホテル周辺の観光情報・食事やチェックアウトの時間・大浴場の入り方などです。先回りして丁寧に説明しておけば、顧客満足度の向上に繋がります。
ツールの進化によって、ある程度の多言語対応は補うことができるようになりましたが、それでも多言語対応できるスタッフの存在は心強いです。多言語に対応できるスタッフを採用できれば、外国人観光客の安心感や顧客満足度は向上するでしょう。
採用だけでなく、スタッフそれぞれのトレーニングも効果的です。英語のほかに中国語や韓国語が習得できると、さらに手厚い対応につながります。
公式サイトや宿泊予約システムを多言語化すると、集客の段階で差別化ができます。
現地向けのシステムがあるので、日本語版は必要ないのでは?という考え方もありますが、日本滞在中のアクセスを考えると、公式サイトや宿泊予約システムの見直しは大いに意味があることです。
現状、公式サイトの多言語化まで着手している宿泊施設は少ないため、うまくいけば集客の時点で差別化できる可能性があります。
多言語での利用が可能なキャッシュレス決済システムの導入も、効果的な多言語対応です。言語の壁に阻まれることなく、正確かつスピーディに決済が完了できます。決済に関するトラブルも抑えられるでしょう。
多言語対応できるスタッフがいなくとも滞りなく決済ができるのは大きなメリットです。規模が大きく、ある程度予算に余裕があるホテルでは導入を検討したいところです。
館内に配置する案内版などのツールに多言語対応システムを導入することも、満足度向上につながります。
外国人観光客とスタッフ、双方の負担を大幅に減らしてくれるでしょう。多言語対応できる案内システムを導入できれば、レストランの混雑状況・館内案内・ホテル周辺の情報・Q&Aなど、今まで人が対応していた内容を全て任せることも可能です。
ここまで様々な多言語対応の方法を紹介してきましたが、言語以外にもインバウンド対策の方法があります。集客の段階で、外国人観光客向けのサービスをアピールすることもポイントです。
ホテルや旅館で対応できる、インバウンド集客のアイデアを4つ紹介します。
快適なWi-Fi環境は、外国人観光客にとって欠かせない設備です。速度や接続台数に応じて適切なプランを選択しましょう。十分なアクセスポイントを設置できれば、施設内のどこでも快適に通信できます。通信環境を整備することで、外国人観光客も喜んでくれるでしょう。接続手順とパスワードの表記にも、忘れずに多言語対応してください。
通信速度の速いWi-Fiは、外国人観光客へのアピールポイントとしても有効です。Wi-Fi環境の整備が完了したら、積極的なアピールも忘れないようにしましょう。
様々な国の観光客に対応するためには、異文化への理解も大切です。宗教上の理由で特定の食物が食べられない観光客には、ハラールやベジタリアンメニューが喜ばれます。
定時のお祈りのためのスペース確保や、特定の宗教の日に特別なイベントの開催を控えるなど、細やかな配慮をすることで顧客満足度向上が期待できます。
日本に来る外国人観光客は、日本の伝統的文化にとても興味を持っています。地元の文化や伝統を学べるワークショップ・季節ごとのイベント・料理体験など、日本でしか体験できないイベントを用意しておくと、大いに喜んでくれるでしょう。
イベントやワークショップを通じて地域との連携を深めることができる点も、宿泊施設にとっては大きなメリットとなります。
InstagramやFacebookなどのSNSをうまく使って、外国人観光客へアピールしましょう。外国人観光客は日本に来る前に、SNSで情報収集をするケースがほとんどです。日本人でも知らないようなマイナーなスポットが、外国人観光客の間で人気となることはよくあります。
発信内容はホテルや旅館の内部や外観の見栄えの良い写真、現地の観光スポットや飲食店などのおすすめ情報など、外国人観光客に響きそうなコンテンツの提供がポイントです。ハッシュタグや地域タグを使って、興味をもつ外国人へ届けるための工夫も忘れないようにしましょう。
ここまで、インバウンド対策における多言語対応と集客アイデアについて紹介しました。
多様な方法があり、導入するにはコストや時間がかかる場合もあるため、自社に合った方法を選ぶことが大切です。コロナ後の宿泊施設売り上げ拡大のポイントは、新しいマーケットの開拓と競合との差別化を意識したインバウンドの拡大です。本記事で紹介した方法以外にも様々なインバウンド対策がありますが、予約サイトや公式サイトの多言語化も忘れずに対応したいところです。
※掲載されている内容は公開日時点の情報となります。