ホテルのマーケティング戦略とは?効果的な集客アイデアや成功事例を紹介
ホテルのマーケティング戦略とは?効果的な集客アイデアや成功事例を紹介
新型コロナウイルスによる影響も落ち着き、徐々に観光需要も回復しつつある昨今において、集客目的でマーケティング施策を強化するホテルは増加傾向にあります。
マーケティング手法は、従来の旅行関連メディアへの掲載だけでなく、Web広告の運用やSNSの活用など多岐に渡ります。そのため、集客増加につなげるためには、ホテル利用者の属性やニーズを調査することによってターゲットを明確化し、適切な施策を検討・実施することが重要です。
そこでこの記事では、ホテルのマーケティング戦略について、基本的な概要から効果的な集客アイデアまで、成功事例も交えて紹介します。
ホテルのマーケティングとは?
ホテルの売上増加や収益拡大につなげるためには、多くのユーザーにホテルの特徴や魅力を訴求し、宿泊予約をしてもらう必要があります。そのため、ターゲットやそのニーズを踏まえ、さまざまな媒体で適切な告知を行うことが重要です。
近年、ホテルのマーケティングについては、さまざまな手法が登場しています。ホームページを運用したりWeb広告を出稿したりするだけでなく、SNSの活用や口コミマーケティングなどによって拡散を図る手法も効果が期待できます。また、OTA(Online Travel Agent)というWeb上で旅行案内を行う旅行会社などを有効活用することで、効率的に予約を獲得することも可能です。
とはいえ、これらのマーケティング施策はアプローチ手法が異なるため、それぞれの施策における特徴を把握した上で、目的やターゲットを踏まえ、マーケティング手法を戦略的に選定する必要があります。
ホテル経営に効果的なマーケティング手法・集客アイデア10選
ホテル経営に効果的なマーケティング手法や集客アイデアは、多岐に渡ります。マーケティング手法や集客アイデアを選定するには。それぞれの特徴を適切に把握しておくことが重要です。
そこで、代表的なマーケティング手法や集客アイデアとして、次の10選を紹介します。
- OTAや旅行関連メディアへの掲載
- SNSマーケティング
- SNSアカウント運用
- インフルエンサーマーケティング
- Web広告・SNS広告の運用
- 期間限定イベントや宿泊プランの企画
- コンテンツマーケティング
- 口コミマーケティング
- SEO対策・MEO対策
- ブランドマーケティング
OTAや旅行関連メディアへの掲載
OTA(Online Travel Agent)とは、Web上で展開している旅行代理店のことを指します。
代表的なOTAとして、次のような旅行会社が挙げられます。
- じゃらんnet
- 楽天トラベル
- 一休.com
- Yahoo!トラベル
- Booking.com など
いずれも実店舗を持たず幅広いホテル情報を掲載しており、ユーザーは24時間365日利用することが可能です。OTAによっては、閲覧するユーザーの地域や年齢などに応じてプロモーションを行っているため、掲載することで多くのユーザーの集客が期待できます。
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用することによってユーザーとの双方向コミュニケーションや商品などの認知度向上により収益増加を図るマーケティング手法です。スマートフォンの普及に伴い、ホテル業界に限らずSNSは多くの業界でマーケティング施策として活用されています。
SNSの魅力は、即効性の高さと拡散力にあります。一方、炎上や誹謗中傷といったリスクもあるため、運用する際には注意が必要です。
SNSアカウント運用
SNSマーケティングの手法は、主にアカウント運用と広告・プロモーション施策に分けられます。
SNSアカウント運用は、その名のとおり自社のSNSアカウントを作成して運用していくことです。代表的なSNSには、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)、LINE、YouTube、TikTokなどがあります。いずれも機能や特徴、ユーザー属性などが異なるため、目的やターゲットニーズなどを踏まえて選定することが重要です。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサーと呼ばれる人にホテルの魅力などの情報を発信してもらうことで、予約獲得を図る施策のことです。
インフルエンサーとは、SNSで多くのフォロワーを集める人のことで、世間の人に多くの影響を与えます。たとえば、インフルエンサーがホテルの情報を伝えることで、ホテルに泊まりたいという人が予約する人が増えれば、ホテルの収益が上がります。
インフルエンサーマーケティングを実施することによって、自社のSNSアカウントではカバーできない層に広くアプローチできるため、新たな客層を獲得する効果が期待できます。
Web広告・SNS広告の運用
ホテル経営に効果的なマーケティング手法としては、Web広告やSNS広告が挙げられます。
対象となるユーザーの性別や年齢、住所といった属性をもとにターゲティング設定を行うことができるため、ピンポイントでアプローチすることが可能です。さらに、過去の宿泊履歴や閲覧履歴、趣味嗜好などの行動履歴もターゲティングできるため、精度を高めることで宿泊予約につなげることも期待できます。
また、実施後の効果を数値やデータによって可視化できるというメリットがあります。そのため、運用後の効果を検証して改善を行うことで、効果を高めた運用をすることが可能です。
期間限定イベントや宿泊プランの企画
期間限定イベントや宿泊プランの企画も、ホテル経営に効果的なマーケティング手法・集客アイデアの1つです。
たとえば、年末年始やゴールデンウィーク、お盆などの期間は観光需要が高まり、ホテルは宿泊客で混み合います。また、スポーツやアーティストのコンサートなどのイベントによって、ホテル需要が高まるケースもあります。
このようなイベントを調査して、イベントと連携した企画や宿泊プランを行うことで、収益拡大につなげることも可能です。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、Web検索を活用し、さまざまなキーワードで検索したユーザーの潜在ニーズに合致したコンテンツを提供することで宿泊予約の獲得につなげる施策のことを指します。
ホテルの情報を提供することはもちろん、関連する潜在ニーズを深掘りしたコンテンツを発信することで、認知度拡大やブランディング効果につなげることが期待できます。
その結果、宿泊意欲を高めて、宿泊予約の獲得につなげることが期待できます。
口コミマーケティング
口コミマーケティングとは、実際にホテルに宿泊した人の口コミを活用して、ホテルの予約を促し、収益につなげる手法です。
宿泊するホテルを選ぶ際、多くのユーザーは実際に泊まった人の口コミを参考にします。口コミは、客観的かつ信憑性の高い情報であるため、購入単価が高くなるほど参考にする傾向があります。そのため、多くのホテルが良質な口コミを集めるべく、口コミマーケティングに力を入れています。
しかし、作為的な印象の口コミは「やらせ」と判断され、マイナス効果になる可能性もあります。口コミマーケティングを実施する際は、信頼感を得るためにも、良い口コミだけでなく、悪い口コミを併記することが重要です。
SEO対策・MEO対策
ホテル経営に効果的なマーケティング手法として、SEO対策やMEO対策が挙げられます。
SEO(Search Engine Optimization)対策とは、ホテルのホームページをユーザーが検索したキーワードで上位表示させる施策のことです。上位表示されることで、多くのユーザーが見るようになるため、宿泊予約につながる可能性が高まります。一方で、SEO対策は即効性が高い施策ではないため、中長期的な視点で取り組む必要があります。
MEO(Map Engine Optimization)対策とは、Googleなどの地図検索において自社ホテルの情報を上位表示させる施策のことです。観光地の近辺で自社ホテルが上位表示されれば、多くのユーザーの目に留まりやすくなり、宿泊予約につなげる効果が期待できます。
ブランドマーケティング
ブランドマーケティングとは、自社ホテル価値を高めることで、宿泊予約の獲得に繋げる施策のことを指します。「家族向け」や「高級感のある」などホテルのコンセプトを明確化した上で、マーケティング施策を実施することで他のホテルとの差別化を図り、認知度を拡大し宿泊数の増加につなげることが期待できます。
ただし、ブランドマーケティングは他のホテルも実施しているため、自社ホテルの強みをどのように訴求できるかが重要になります。
ホテルの公式サイトや予約システムの改善もおすすめ
ホテルの公式サイトや予約システムなどを見直し、改善することもおすすめの施策です。どれだけマーケティング施策を行ってホームページにアクセスを集めたとしても、予約しにくいコンテンツだったら、宿泊予約はされず、離脱してしまいます。
ホテルの利益を拡大させるには、ユーザーに宿泊予約をしてもらわなければ意味がありません。そのため、ホテルの公式サイトを改善し宿泊予約までの導線を分かりやすくすれば、予約を獲得できます。
宿泊予約システムの変更で集客強化を実現した成功事例を紹介
宿泊予約システムを変更することによって、集客強化を実現した成功事例を紹介します。予約システムの改善によって大きな効果につながったホテルは、次のとおりです。
- 二ツ島観光ホテル 様
- Hatago COEDOYA ~ 旅籠 小江戸や ~ 様
二ツ島観光ホテル 様
茨城県北茨城市にある「二ツ島観光ホテル」では、2022年に宿泊予約システムを改善したことでホームページ経由の予約比率が2倍以上に増加しました。
システム導入前は、宿泊予約するまでの導線が分かりにくかったため、ユーザーが離脱してしまう傾向にありました。そこで、新たな宿泊予約システムを導入したところ、UI(ユーザーインターフェース)が改善され、宿泊予約までの導線が簡素化されたことで宿泊予約がしやすくなりました。
さらに、さまざまな宿泊プランの掲載が可能となり、ユーザビリティ(使いやすさ)も向上したことも、売上増加につながっています。
Hatago COEDOYA ~ 旅籠 小江戸や ~ 様
埼玉県川越市にある「Hatago COEDOYA ~ 旅籠 小江戸や ~」も、宿泊予約システムを導入したことで、ホームページ経由の予約比率が1.5倍以上に増加しました。
導入前のシステムでは、ユーザーにとって宿泊プランの優位性が分かりにくい傾向にありましたが、新たな予約システムによってベストレートを提示しやすくなり、売上増加につながっています。ここでいうベストレートとは、他社のホテルの同じ条件のプランよりも安い客室価格を保証する制度のことです。
さらに、システムの操作性の向上によって運営管理がしやすくなり、大幅な運用の効率化につながった点も、成功した理由として挙げられます。
ホテルのマーケティング・集客を実施する際のポイント
ホテルのマーケティング・集客を実施する際のポイントとして、次の5つの点が挙げられます。
- ペルソナやターゲットの設定
- 自社の強みを分析する
- 自社のコンセプトを決める
- 競合施設を調査する
- 最新のトレンドや顧客ニーズを確認する
ペルソナやターゲットの設定
ホテルのマーケティング・集客を実施する際のポイントとして、ペルソナやターゲットの設定が挙げられます。
ペルソナとは、ホテルを利用する具体的な人物像のことです。ターゲットとして、実際に宿泊客の具体的な人物像を設定することにより、どのようなマーケティングを実施すればいいかが明確になります。
ターゲットとしてペルソナを設定するには、ホテルの宿泊履歴やホームページへの訪問履歴などを参考に、ユーザー属性やニーズを明確化しておくことが重要です。
自社の強みを分析する
自社のホテルの強みを分析することも、ホテルのマーケティング・集客を実施する際のポイントになります。
ユーザーが宿泊するホテルを決める場合、他のホテルと比較検討を行う傾向にあります。そのため、他のホテルにはない強みを訴求できれば、差別化につながり自社ホテルの宿泊予約の獲得を増やすことが可能です。自社ホテルの強みを分析し、マーケティング施策を通じてアピールすることができれば、ホテルの集客につながります。
たとえば、部屋からの景色や温泉の効能、食事メニュー、館内の雰囲気、観光地からのアクセスなどが自社ホテルの強みになります。自社のホテルを徹底的に分析し、強みを導き出しておけば、効果的にマーケティングを実施することが可能です。
自社のコンセプトを決める
自社のコンセプトを決めることも、ホテルのマーケティング・集客を実施する際のポイントの1つです。自社ホテルのターゲットや強みを明確化することができれば、自然とホテルのコンセプトが見えてきます。
コンセプトは、マーケティング施策におけるキャッチコピーにも影響します。そのため、あらかじめコンセプトを決めた上で、マーケティング施策につなげていくと効果的です。
ただし、長年同じコンセプトでマーケティング施策を行っていると、ユーザーニーズとマッチしなくなる傾向にあります。ユーザーニーズは日々変わっていくため、コンセプトも定期的に見直していくことが重要です。
競合施設を調査する
競合施設を調査することも、ホテルのマーケティング・集客を実施する際のポイントになります。
マーケティング施策では、ホテルに限らず競合他社を分析することが重要だからです。他のホテルの動向を調査・分析することで、自社のホテルとの違いが明確になるため、マーケティング戦略にも落とし込みやすくなります。他のホテルを調査する際には、サービス内容や料金だけでなく、ホームページでのアピールポイントや口コミ情報などについて、客観的かつ多角的に実施することが重要です。
最新のトレンドや顧客ニーズを確認する
最新のトレントや顧客ニーズを確認することも、ホテルのマーケティング・集客を実施する際のポイントの1つです。コンセプトでも触れたように、日々変化していくユーザーニーズやユーザー行動の多様化に対応するには、最新のトレンドや顧客ニーズを確認することがより重要になっているからです。
最新のトレンドや顧客ニーズは把握するためには、特にSNSが有効です。InstagramやTikTokなどを調査し、どのようなホテルが取り上げられているか、何を強みとしているか、どのような訴求方法を採っているかなどについて、ハッシュタグなどを参考に確認すれば、自社ホテルのマーケティング施策の参考になります。
ホテルの課題に合ったマーケティング戦略を設計しよう
ホテルの収益を拡大させるには、マーケティング施策は欠かせません。Webマーケティング施策は日々進歩が進み、SNSをはじめ新たな施策も登場しています。このような中で、自社ホテルに合ったマーケティング施策を効果的に選定・実施するためには、自社ホテルのターゲットや強み、コンセプトを明確化しておくことが重要です。この記事で紹介した内容を参考に、自社ホテルに合ったマーケティング施策を実施することによって、運用効果を高めていきましょう。
※掲載されている内容は公開日時点の情報となります。